◆・・・12章:もう後ろは向かない

『私がこの子の担当を引き受けようか?』
大柄の、光る頭が煌びやかな男が言った。
初めは自分が引き受ける!と聞かなかったエンヴィーも
ラストに何か吹き込まれて、しぶしぶ落ち着いた様だ。
「じゃ、私たちはこれで失礼するわよ」
「さようならー」
「・・・〜〜は絶対諦めないからね!」
そう行って扉から出て行こうと、立ち上がる一行。だが、すれ違い際にラストが小声で耳打ちする。
「・・エンヴィーに免じて無事に帰らせてあげるわよ」
「えっ!?どう言う事ですか!?」
しかしニコリと笑ったままラストは部屋から出て行ってしまう。
「・・・エンヴィー・・・」
「何?・・・って言うか・・・」
「言うか?」
エンヴィーが近づいてきて耳打ちする。
「たぶん帰れるよ、近いうちに・・ね。惜しいけどね」
「!?」
またラストと同じような事を吐き捨てて扉から出て行く。
ー、がんばれー」
グラトニーまでもが、こっそりに耳打ちし、ばいばい、と言いながら出て行く。
スキンヘッドの男と二人・・部屋に取り残されてしまった。
「此処は教会。私は教主、コーネロだ。宜しく、
「ハイ」
「この部屋は自由に使って良いから。君には私の世話役を頼もうかな?」
「・・・・ハイ」
「では、用の時は仕えを向かわせるから。くれぐれも逃げ出すような真似はしないように」
「・・・・・・・・ハイ」
そう言い残して部屋から立ち去る教主。
早く帰りたい。頼っちゃいけない、分かってる。
でも、帰れない自分が居る。こんな時に自分は無力だ。
誰の力も・・借りる権利なんて私には無いのに・・・

「とりぃいぃいぃい!!ごるぁあぁあぁあー!!!このクソジジイー!!」
『兄さん!落ち着いて!!仮にものお祖父さんなんだよ!!町が分かっただけでも幸いじゃないか!』
今、エルリック兄弟は、妙な宗教放送の流れる町へ来ている。
の家から祖父(仮)が向かった先は駅。切符売り場で頻りにこの町の切符を突いていたので来たものの・・
「起きろぁあぁあぁ!!人の頭の上で寝るとは上等だコラァ!!」
『おおお落ち着いて兄さん!こんな町中で大声出して鳥(仮)相手に怒鳴らないでー!!』
「・・・腹減った。なんか食おー・・・」
『・・・お祖父ちゃんが動いてくれないなら・・仕方ないよね・・;』
とぼとぼとお昼ご飯を食べるため食べ物屋さんへ。
『・・・ラジオで宗教放送?』
「神の代理人・・・って、なんだこりゃ?」
「いや、俺にとっちゃあんたらのほうが「なんだこりゃ」なんだが・・・」
店のおじさんと他愛のない会話を交わす。

「・・・・・誰?」
「コーネロ教主様さ、太陽神レトの代理人!」
おじさんがせっかく説明してくれているのに「宗教興味ない」とか言って
まったく聞いていないエドワード。
ばささっ!
突然鳥(仮)が暴れ出したかと思うと、エドの頭から勢いよく飛び立つ。
「おわー!!とととととりぃー!!(仮)どうしたー!!?」
『ににに兄さん!お祖父ちゃん(仮)が飛んで行っちゃ・・・った』
「追いかけるぞ!!」
『ウン!!』
ごちっ
『あっ!』
バゴ!!
「・・・・・」
『・・・・;』
「ちょっとお!!困るなお客さん、だいたいそんなカッコで歩いてるから・・・」
立ち上がったアルの頭がラジオとごっつんこ。立派なラジオがぶっ壊れてしまった。
「悪ィ悪ィ、すぐ直すから」
「「直すから」って・・・」
「まあ見てなって」
『えっ!?でもお祖父ちゃん(仮)が・・;』
ニヤリと笑うエドワード
「大体予想はついたよ」
『えっ?』
「_________は」
エドは向こうに見える大きな建物に目を向けながら自信ありげに言った。

ぱんっ
手を合わせてはそのままの格好で錬成を止め、深い溜息をつく
逃げたってエンヴィー達に連れ戻されるのがオチだ・・と思い止める。
何をされるか分かったモンじゃないし、と一人呟き空を眺める。
と、窓から黒い固まりが飛び入ってくる。
ばささっと翼を整えながらの手の上に留まる。
「おじいちゃん!?どうしたの!!?こんな所へ・・・?」
安心したのか眠ってしまった烏をタオルにくるんで机の上に乗せる。
「どうやって来たんだろ・・・おじいちゃん・・・」
何日此処へ居れば良いのだろう
いつ帰れるのだろう
どうやって帰るのだろう・・・
そんな不安と寂しさが襲う。
いくらエンヴィーやラストが嘘をつくような人間に見えなくとも
自ら”帰さない”宣言をしておいて、「帰れる」等と
矛盾した発言を信じられる筈もなく、瞳から溢れてくる滴を
どうにか止めることしか出来なかった。
「_____?泣いてんの?」
不意に現れた訪問者に驚きを隠せない
「えっえっえっえん」
「エンヴィーだけどさー・・・」
は弱っちぃなー♪等とひょうひょうとした発言だったが、顔は不安を物語っている。
「大丈夫?・・・ごめん・・。」
「えっ!?別にそんな、エンヴィーが謝る事じゃな・・」
エンヴィーの物悲しそうな顔に声の詰まる
いままでの明るいエンヴィーとは違う、心から悔やんでいる目。
「気にしないで!私そんなに気にしてないし!きっとっ」
足下がグラリと傾き、目の前が突如真っ暗になる。
気絶したのではなく抱き寄せられていた。
「ちょっ!?ななっなななな」
「ごめん」
「エンヴィー・・・」
抑えていた物が頬を伝って流れ落ちる。
「・・ぐずっ」
「もう帰れるから・・・ホント、ごめんねっ」
エンヴィーはニッコリ微笑みながら言うが、エンヴィーの胸に顔を埋めているには
見えるはずも無い。
代わりにエンヴィーの背中に回す、腕がきつくなる。
「・・は泣き虫だなー・・・・・・やっぱりちょっと勿体ないな。」
ギュッと腕に力を込めると、名残惜しそうに呟いた。
コンコンッ
ドアを叩く軽快な音がなる。
「あっ、じゃね・・・。帰れたらいいね・・」
窓から飛び降りようと縁に手を掛けるエンヴィー。
「あっ、えと・・・有り難う。」
「何が?」
「慰めに来てくれたんでしょ?」
「あー、うん、まぁー・・・そうだけどー」
ニコリと微笑むに顔を真っ赤にするエンヴィー。
「じゃね♪」
「うん、またね!エンヴィー!」
ひゅっと飛び降りるエンヴィー。
「ハイ!どなたですかー??」
ドアに向かって叫ぶ。
「コーネロ様が部屋まで来るようにとのご命令です。”錬金術の用意をして来い”と」
「分かりました!すぐ向かいます。」
タオルに包んだ烏をそっと抱いて、ドアへ手を掛ける。
ふきっさらしの窓から遠くへ見えるのはラストとグラトニー。
「ラスト・・グラトニー・・・」
笑顔でおおきく手を振ってみせると、ラストもグラトニーも振り替えしてくれた。
「有り難う」
もう後ろは向かない。振り返ってちゃ駄目だ。
前を向いて歩いていこう。どんな事が有ったって。
私には立派な足があるんだから。
BACK TOP NEXT
〜反省会〜
姫空「久しぶりのコント反省会。やっとお姫様救出編もクライマックスへと近づいて......」
エド「なーにがお姫様救出編だぁー!!とっとと話進めやがれドチビ!!」
姫空「まっ!クソチビのアナタに言われたくない!」
エド「誰がクソチビだぁー!!!?」

ウチん所のエンヴィーとラストとグラトニーは優しいです(たんにだけ
エンヴィー、たんゾッコンラヴァーです。ラヴラヴウォッチングです(意味不
でもたんとは敵同士・・・キャッv運命って過酷ー(阿呆か
SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO