◆・・・氷で祝う誕生日

機械鎧の先まで凍り付きそうな冬真っ盛りの昼下がり。
暖かい暖炉の有る宿屋の一室
「エドとアルの誕生日っていつ?」
「は?」
『へ?』
があまりに深刻な顔で聞くので返答に困る二人。
ウーン、と考え込むエドとアル。自分の誕生日を教えるのに、どうしてそうも困るのだろう。
「『秘密』」
二人が声を揃えて言う。
「えぇっ!?何故!?減るモンじゃあるまいし、教えてよ〜・・・」
しかし可愛いの頼みといえども、自分のプライドで一度言ったことは曲げたくないエド。
エドに口止めされて、教えてあげたくても教えてあげられないアル。
「無理ー。どうせ知った所でロクな事しねぇだろー」
どうやらエドはこの話題をとっとと終わらせたいらしい。
『兄さん・・誕生日くらい・・・』
「エド〜教えてよ〜・・・」
「・・・・冬」
「・・・冬?」
『今、まさに冬も本番だよ・・兄さん』
アルの鋭いツッコミも虚しく、は納得して頷いている。
「冬・・・。15歳おめでとう!エド!そしてアルは14歳おめでとう!!」
アルの誕生日を聞いていないにもかかわらず、2人1セットと数えている
「どうもー・・・」
『エヘヘ・・嬉しいなぁ・・久しぶりに誕生日おめでとうって言われた・・・』
二人とも少し照れくさそうに笑った。
「じゃあ図書館行くかぁー」
『あっそうだねー、もうそろそろ開館時間だねー」
二人がいそいそと出掛ける準備を始める。
「あっ!今日は私、ちょっと用事があるのでー・・行ってらっしゃいv」
「用事?何処か行くのか?」
「・・・レディーには色々と事情が有るのよ・・・」
フフフ・・、妙に怪しすぎるの微笑みに、事情を聞けないエドとアル。
『じゃあ、気を付けてねー』
「あんま遠くまで行くなよー、方向音痴なんだからなー!」
「はいよー、方向音痴は余計です!」
二人えお笑顔で手を振り見送る
二人の姿が見えなくなると、部屋でゴソゴソと何か始めた。
____数時間後
「あーあ、今日も賢者の石の手がかり、見つからなかったなー・・・」
『そうだねー・・・もう帰ってきてるかなー・・・?』
「どうだろうな、ってか誕生日なんて言えるワケねーだろ!!」
エドがふてくされたように言う。
『あ、そういえば・・兄さんどうしてそんなに誕生日を教えるの、嫌なの??』
教えてあげれば良いのに、とアル。
「・・・だってよ・・・オレ、誕生日冬だろ?」
ウン、とアル。
「・・・大体のヤツってもう誕生日過ぎてるじゃん・・そしたらさ・・」
『あっ・・・兄さんまさか・・・』
「・・・////、ハズイだろー!?オレの方が同い年だけど・・年取るの遅いって!!」
そういう事か、と納得するアル。
『でも!兄さんはまだ同い年だから良いじゃないか!ボクなんて完全に一つ年下なんだよ??』
「・・・・でもよ・・やっぱりオレのプライド的に、より遅い誕生日は許せねぇ・・・」
変な所に意地っ張りな所が、まだまだ子供である。
そして、の誕生日が自分より早いのか後なのかがハッキリしないのに決めつけてしまう所も子供である。
少し歩くと、目的地である、宿へと着いた。
見ると自分たちの泊まっている部屋の明かりが灯っていない事に気が付いた。
「・・・なんか、明かり点いて無くないか??」
『・・・だよね・・まだ帰ってきてないのかなぁ・・?』
もう時刻は18時半を過ぎた。冬なのでもう外は一面闇の世界だ。
「・・とりあえず、部屋に入っておこうぜ」
『そだねー』
玄関から、2階の自分たちの部屋の前まで行く。
扉を開けようとすると、鍵が掛かっていない事に気が付いた。
「・・・不用心だなー、オイ。泥棒でも入ったらどうすんだよ・・」
文句を言いながらも重い扉をギィ・・、と開けるエド。
すると突然パン、と言う軽快な音と共に明かりが灯る。
「ハッピーバースデーイ!&!メリークリスマース!!」
「『へ・・!?』」
突然クラッカーをならしながら現れる。どうやら朝から計画していた様だ。
「もー、二人とも遅いからちょっと見えにくくなるかもしれないじゃない!ホラホラ!早く外出る!!」
に押されていそいそと外へ出されるエドとアル。
「さむーい!まさか此処まで寒いとは・・・」
人一倍寒がりのクセにの肩を出している服では、人一倍寒いのは普通だろう。
しかし、それでもその服を着続けるのは、のプライドなのだろうか・・(わざわざ洗い替えまで作る始末
エドが自分の来ていた、赤いロングコートをに掛けてあげる。
「うわ、あったかい・・・有り難うvエド」
嬉しそうに言う
「・・・そっそれより、何で外なんか出るんだよ・・寒いのに・・」
照れ隠しなのか、少し俯きながら言うエド。
『ボクは寒いとか分からないけど・・・、この寒い外で何するの?
不思議そうに聞くアル。・・・無理もない。
「ふっふっふー、よくぞ聞いてくれました!風雪の錬金術師、ちゃんの腕の見せ所です!」
手をパンッ、とあわせる快い音が星と月の光が交差して輝く夜空に響き渡る。
バシィッ、と地面に手を付け、バチバチと光を発しながら、空気中の水分を増幅させる。
「得意の水の増幅・・?何するんだよ」
「まぁ見てて!」
更に光を増しながら今度は風を起こし、水を空中、天高くまで上昇させていく。
「ハイ、終わり。」
『終わり・・?何したの・・・??』
嬉しそうにもう一度手をパンッ、と叩いて地面に手をつける。
が手をついた場所からビキビキと氷の柱が立ち、大きな塔になった・・・。
『これは・・・・』
「クリスマスツリー・・?」
目の前に出来た、大きな氷のオブジェ、星と月の光が反射して、
まるでイルミネーションの様なツリーを目にして、驚く二人。
「そう、ツリーです!クリスマスも祝えないっぽいし・・いっその事一緒に祝ってしまいましょうと言う事で!」
え、クリスマスってもう終わってる??と。そんな事はどうでもいいんだよ、とエド。
「それより、さっき上に上昇させた水は・・?何か意味あったのか?」
クイクイ、とが星のキラキラ輝く空を指さす。
・・すると空から白いモノが・・・
『・・雪?』
「ご名答。雪です!」
風の力を利用して雪を降らせる事から、は”風雪の錬金術師”と言う銘をうけたのだ。
大きな氷のツリーに白い雪、空には大きな丸い月に煌めく星空。
こんなに幻想的で、嬉しい誕生日・・エドにとってもアルにとっても初めての経験だった。
「私はこれくらいしか出来ないけど・・誕生日おめでとう、エド、アル。」
『ボク・・こんな素敵な誕生日プレゼント・・初めてだよ・・ありがとう、。』
アルが嬉しそうな声で言う。
「どういたしましてv」
・・・・・・」
エドが俯いたまま、言う。
「ん?」
「本当にありがとうな・・・」
心の底からお礼を言った。
「どういたしましてっ!」
ロクに誕生日祝ってもらった事なんて、母さんの生きていた時以来だなぁ・・・と
少し寂しげに言う二人。
「私で良ければ!何年でも祝ってあげる!と言うか何か欲しい物・・有る?」
それを見て、自分に出来ることが有ればやってあげなきゃ!という気になる
『そんなっ!祝ってもらえただけでボクは十分だよ!』
「おぅ!・・・・あっオレ欲しいモン思い出した。」
「何?私のあげられる物?」
「おぅ、しかあげられない物」
「えっ!?私しか・・・って・・・」
冷や汗を流す
「そりゃ♪もちろんそのもッゴフッ!!
の見事な蹴りがヒット。
「調子乗りすぎ・・・////、もう来年から祝ってあげないよ!??」
『兄さん!どうしてそう言う方向へ行っちゃうのかなー!??もう!あっ!
「どうしたんだよ?アル??」
もう立ち直ってケロリとしているエドが聞く。
「大佐だよ、兄さん。こんばんはー。」
「はぁ!??」
アルがエドの背後を指さしながら言う。
「やぁ、鋼のこんばんは」
見るとそこには大佐にホークアイ中尉、ハボック少尉にヒューズ中佐と、
軍の方々が立っていた。
「何で大佐が・・ってかヒューズ中佐まで・・」
「いやぁー、君に呼ばれたモノだから。」
じっとを見つめるエド。
「呼んでない!呼んでないよ!!!」
「大佐、意地悪はやめて下さい。誕生日を祝うから内緒にしててと言われただけです」
「よう!エド!!誕生日なんだって??祝いに来てやったぞー」
「あ、ちゃんこんばんはー、って俺来ても良かったんスかねー?」
『あ、ホークアイ中尉もヒューズ中佐もハボック少尉もこんばんはー。』
「・・・・祝い事は大勢の方が楽しいよね・・っ!!エドv」
「・・・・あんまりだぁぁー!!」
エドワードの叫びも虚しく、騒がしい夜は更けていくのであった。

〜FIN〜
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長いですが、終わりです。いやぁーノーコメントですねぇー・・・;
皆様、お気づきだと思いますが、ちゃんの二つ銘は”風雪”です。
まぁ、ドリームの題名なので、察しの良い方はもうとっくに気づいてるというお話。(ぇ
とりあえず、此処までお付き合い頂き有り難う御座いました!!
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